エミ・マイヤーという人を知ることになったのは、このアルバムの発表から遡ること2,3年前。
”My Space”というSNSで見かけたのだった。
”My Space”ってご存知でしょうか?
”mixi”がそろそろ飽和状態になりかけていて、その後”Facebook”が台頭してくるまでの過渡期のほんのわずかな期間に一時的に注目されたSNSです。
いや、あんまり日本では注目されてなかったかもしれない。当時誰に話してもピンと来てなかったみたいだから。
詳しいことは各自で調べていただくとして、この”My Space”ってところは、自分のアカウントで音楽プレイヤーに音楽をアップロードできて、それを色んなユーザーに聴いてもらえるので、ミュージシャン界隈では重宝していたんですよ。海外ではここで人気が出てデビューした人もチラホラいらっしゃったりして。そういうのは今ではYouTubeがやってるね。
その”My Space”で色んなミュージシャンのアカウントを徘徊していて見つけたのが、エミ・マイヤーだった。
まだデビュー前というか、デビューの準備も兼ねて音源を紹介してたんだと思うけど。
彼女のページを見てみても、全部英語で書かれてるから、よくわからなかったんだけどね。とにかく楽曲が僕の琴線に触れまして。どうもNYにいる方のようだというのはわかった。
それでメッセージを送ったのでした。「こちら日本に住んでる者ですが、アナタの音楽が大変気に入りました。非常に素敵だと感じます。」みたいな事を一生懸命英語で書いて、慣れないだけに短い文章しか書けなかったけど、送ってみたのね。
そうしたら数日後に彼女から(もしくは彼女のスタッフの方から)返事が届きまして。
喜んでくれて、感謝のメッセージだったのはわかったんだけど、なんせ返事も英語なものだから、詳しい内容が分からない。そこでもう継続してメッセージをやり取りすることは断念した。
確かその半年後くらいにデビューアルバムが発表されて、それをチェックしてね。そうしたらチラチラとプロフィール的な物も紹介され始めていて、父親がアメリカ人で、母親が日本人だったかな?
育ったのはアメリカみたいだけど、活動は日本とアメリカを行き来してるというのは今回紹介のアルバム”SUITCASE OF STONE” が出た頃に知る。
ついでに、何かのインタビュー映像を観て、日本語も流暢に喋っていることも知る。
あんなに苦労して英語でメッセージしたのに。
とにかく、デビューアルバム以降は特に動向をチェックしたりもしていなかったんだけど、それから数年後、ちょうど”Facebook”がSNSでの地位を獲得し、多くの人が自分の”My Space”のパスワードを思い出せなくなった頃に、ふらっと立ち寄ったCD屋さんで試聴機に入っているCDを片っ端から聴きまくっていた中に”SUITCASE OF STONE”があったのでした。
歌い方に結構特徴あるもんだから「アレ?」って思って、改めて確認したら、あの英語のメッセージくれた人だった。
もちろんデビューアルバムも好きだったのだけど、こちらの方が俄然良かった。
あんまりここでは音楽の専門的なことは書くつもりないのだけれど、音質的にも音楽的にも広がった感じがあったし、ゆったり落ち着いて聴けるし、エレガントだったしで、聴いてるとふわっと和む気がしたのです。
2011年ってちょっと辛い空気が漂ってたりした時期だしね。決して自分が昔から聴いていたような系統の音楽ではないのだけれど、その新鮮さもあったし、なんだかこういうのを欲してたんだろうね。
ちなみに、彼女は一応「ジャズ」ということで作品を発表してるんだけど、まぁ一枚はジャズのスタンダードナンバーのカバーアルバムではあるけど、あんまりジャズとも思って聴いてないんだけどね。その辺は、制作する人たちってどういう判断なんだろう?
このアルバムの後に出たのは、結構デジタルな要素を盛り込んだポップアルバムだったりするしね。あと日本語で歌ってる作品とかもあるんだけど、喋ってる時はさほど気にならないけど歌だとやっぱりこの人が育って来た言葉ではないなってのがわかっちゃったりして、あまり夢中になれない。
だから、その後の彼女の動向を伺うたびに、やっぱりシンプルな編成でアコースティックな要素のあるやつが似合ってるなとか思いながら、このアルバムを聴き返したりしてた。
これと、さっき書いたジャズのカバーアルバムかな。
最近ではどうも彼女はかなりソウルミュージックに寄って来て、それはそれで好きでもあるし、デジタルな音とアナログ感の調和具合というか、彼女なりの落とし所も見つけたような気もするしで文句はないのだけれど、この「ゆったり聴けて落ち着くな~」っていう感慨を味わえるのは、やっぱりこのアルバムなんだな。
とかいうことをいつかまたメッセージしようかと思うこともあるけれど、もう英語で書くのはしんどいな。何かの間違いが起きて、コレ読んでくれたりしないかな(笑)?
今では彼女も”Facebook”で情報発信してYouTube やらサブスクリプションを駆使して楽曲の紹介もしているし、このアルバムに出会った時のように、街中でバッタリ再会して「元気だった?」みたいな喜びはないけれど、意識していなくてもサラっと情報を確認できるようになったのは便利だし楽と言えば楽かもね。
思えば僕の場合は、エミ・マイヤーさんをきっかけにして「ネット時代の音楽の知り方」を身につけて来たのかもしれないな。「ネット時代」って言葉自体が、もう死語だと思うが。
”My Space”もいい仕事してたな(笑)
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