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  • 執筆者の写真辻正仁

#018 52nd Street / Billy Joel(1978)





コレを書く少し前に16年ぶりだかの来日公演やってたね、ビリー・ジョエル。新曲も17年ぶり発表したそうで、元気そうで何より。


初めてビリー・ジョエルを意識的に聴いたのは最初の大ヒット曲である”The Stranger”だ。なんせ毎日ラジオから流れてきてたもんね。で、勝手に黒人ミュージシャンだと思い込んでた。

それからしばらくして、友人たちとそれぞれで入手したレコードを聴かせ合うなんて事をしてる時に誰かが”Honesty”のシングル盤持ってきてて、そのジャケットに写ってた人があの”The Stranger”の人だと知って大層驚いた記憶がある。


この人のアルバムを聴くようになったのは、それよりも結構あとのことなんだ。多分、最初は高校生の頃に、持ってる奴からカセットに録音してもらってとかだったと思うけど、それも多分”The Stranger”だったんだよね。あ、アルバムの方ね。でもあんまり夢中になれなかった。何曲か好きな曲はあるんだけど、途中途中でまどろっこしい曲が挟み込まれていて、飛ばして聴いたりしてた。


で、自分でレコード盤を買うのはそれからさらに後。コレを最初に買ったんだけど、もう発表から5~6年は経ってたんじゃなかろうか? 他にも何枚も新作出してたはずなんだけど、なんでコレにしたんだろう? その辺の記憶が定かじゃないけど、多分ジャケットが気に入ったんじゃないかな? なにか「ビリー・ジョエルを一枚持っておこう」とか思った時に、一番しっくりきたジャケットがコレだったんだと思う。


結果的にですね、ビリー・ジョエルのアルバム作品ではコレがダントツでお気に入りである。あとは大ブレイク前に出した”Streetlife Serenade”かな? 他にも自分で買ったアルバムもあるし、借りたものも含めて全作聴いてるんだけど、何曲かずつ好きな曲があるって感じで、アルバムとして頭から最後まで通して聴きたいって感じじゃないんだよね。


冒頭の"Big Shot"でガツンとかまされて、そのあと"Honesty""My Life”とヒットシングルが並ぶ。ここで「もう世間的なノルマは消化しました」って感じで、この後に味のある曲が続くのが、なんか好きなのかもしれない。「はい、皆さんの心を掴んだので、このあとはちょっと玄人好みで行きますよ」みたいな。


なんというかね、いわゆる「捨て曲」がないのですよ。アルバム通して飛ばしたくなる曲がないし、この順番じゃないといけないような気がしてくる。全部コンパクトにまとまってるけどバリエーション豊富だし、各曲でちょこちょこと気の利いた事をやってらっしゃる。

コレ書くために聴き直してみたけど、いまだにスリリングで飽きさせない。専門家とかなら「佳作揃い」とか言うのだろうな。


下世話なアレで申し訳ないけど、この先のことも全部分かってる状態で聴き返すと、この頃のビリー・ジョエルって、油が乗り切ってたんだろうなと思う。

結構苦労して紆余曲折あってから前作で大ブレイクして、自信もついただろうし、スーパースターになったことによる環境の変化とかでさ、辺なプレッシャーかかったりとか、人間環境とかビジネス上のゴタゴタに本格的に直面するのはもうちょっと先の話で、その狭間の時期の、純粋にクリエイターとして一番充実してた一瞬なのかもしれないな。


でね、このアルバムの中で一番好きなのって、ラストの表題曲"52nd Street”っていう2分半くらいの短い曲なんだけど、実際のところは知らないけど、コレ本当にこのアルバム制作のの最後に録音したんじゃないのかなって思う。

そういう、「はい、お疲れ~」って感じがするのよ。なんか充実した一仕事終えて、皆さんでにこやかに挨拶してるような。


そういえば、しょっちゅう聴いてた頃って、それが楽しみだったんだよなって思い出した。

不思議なことに、この曲だけ聴いても特にどうという事はない。まぁ、短い曲だからもうちょっと聴いていたいみたいな気にはなるんだけど、好きなタイプの曲っていうだけの話なの。


でもね、アルバムの頭からずっと聴き続けて、最後にこの曲が流れるとなんかすごく気持ちいいんだよね。だからそれを味わいたくて、このアルバムは頭から一曲も飛ばさずに聴くという楽しみ方をしてきたのかもしれない。アルバムがアルバムとして構成されてた古き良き時代ってことかな?


そういえば、以前に紹介したポール・サイモンのアルバムのラスト"Silent Eyes”も曲調は全然違うけど、同じような効能がある気がしてきた。アルバム全体の余韻として噛み締めるみたいな。

ビリー・ジョエルの"52nd Street”とポール・サイモンの"Still Crazy After All These Years" って内容違うのに僕の中ではなんとなく印象が似ているし、どちらもグラミーで最優秀アルバムになってるし、プロデューサーが同じだし。自分が聴き込んでた時期も一緒だ。

その辺が、このアルバムを最初に買った理由なのかな、もしかすると。






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