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執筆者の写真辻正仁

#009 We are / off Course(1980)


高校のいつ頃だったか忘れちゃったけど、当時気になってた女の子と仲良くなる為のきっかけづくりの為に、彼女に貸してもらったのがこのアルバムで、それからオフコースを聴き込むようになった。このアルバムのオープニングを飾る曲の出だしのように「始まりはいつも愛」なのである(笑)


ま、当時自分の認識している小さな世界の中では女性の7~8割はオフコース(あるいは小田さん)にうっとりしてたんじゃないかって印象だったんだけどね。


それだけに「軟弱だ」とか変なレッテル貼られていたな。「これは女子供が聴くものだ」みたいな。あるいはちょっとアイドル的な印象だったかもしれない。売れた頃にはもうメンバーの皆さん30過ぎだったんだけどね。


当時はポップスに関してはそういう「軟弱だ」とか「ネクラだ」とか変な差別的なジャンル分けみたいなもんがあったけど、アレはいつ頃なくなったんだろう? 多分、そんな事を言われ続けてた人たちが、それでもしぶとく活動を続けて、「音楽ってそういうもんじゃないよ」って事を浸透させていったんだろうなって考えてるけど、どうなんだろう?


とにかく、そういうアレコレもあって、その女の子と仲良くなりたいというのがなければ、オフコースはそんなに聴こうと思ってなかったかもしれないな。

ただ、その少し前に”風に吹かれて”という曲があって、それは好きだったんだよね。当時『オールナイトニッポン』の第二部とか聞いてると、シングルのCMやってて、それが深夜なのをいいことにワンコーラスまるまんま流れるってCMで、もう番組内でオンエアしてるのと同じだろうっていう。これを繰り返し聴いているおかげで、歌えるようになったもんだ。


そして、その後”さよなら”が大ヒットしたけど、アレはそんなに好みではなかったんだよな。

さっき書いたように、この頃から女の子がキャーキャー言いだして「あ、これは男の聴くものではないやつなんだな」っていう空気になってたのもあるし。

「少女漫画は男の読むものじゃない」みたいなのと同じかもしれない。でも読んでみると中には面白いものもあるんだ。少年漫画よりストーリーがちゃんとしてるものとかも多いし、SFなんかは少女漫画のほうがよっぽどちゃんとしたSFだったりする。


アルバムに話を戻そう。

これ、その女の子に「聴いてみたいから貸して」っていうところから始まるんだけど、彼女はやはり大切なレコードなんで抵抗があったようで、カセットテープを預けて、ダビングしてもらうという形で聴いた記憶がある。わりと丁寧にインデックスを手書きで作ってくれていて、それが結構嬉しかったよね(笑)。


うん、やはり歌詞は色恋沙汰の内容が多いので、当時の自分の気分を重ねて味わえたってのは確かにあるけど、今でも聴けるのはね、音として気持ちがいいからだろうね。

当時はそういう知識もなかったし分からなかったけど、いわゆるウエストコーストのロックとかAORと言われるものの質感。そして単純に格好いいよな。

サウンドも繊細というよりは意外と骨太というか、あんまり「チマチマ」したことやってないんだよね。ドーン、ダァーン、ジャ~ンっていう。大作りな味である。隙間が多くて心地いい。


この頃のオフコースは本当にかっこいい。なんか無理して作ったような曲もあるけど、それが傑作とのメリハリになってるんで許せるってところもあるし。


これ以降、僕はしょっちゅう彼女にテープを渡して他のアルバムとかもダビングしてもらうようになるのだけれど、そこで色々とオフコースの経歴も理解していくのね。

色々メンバー編成も変わってきてるし、都度、サウンドも変わってきてるんだなとか、意外と売れるようになる前の曲でもラジオで聴いていて「え、コレもオフコースだったの?」って曲もあったり。

日本ではこんだけメンバー構成やサウンドを変化させてきたグループって珍しいんじゃないのかね? 大抵はそうなる前に解散しちゃうから。


僕個人としては、このアルバムの頃、五人編成でロックやってたオフコースが一番好きだし、中でもこの作品って一番いいなと思うのです。


そんなオフコース熱が自分の中で一番盛り上がってた時に、彼らのレコーディングのドキュメントがTVで放送されたりなんかしてね。もう興味津々でした。一回しか観てないのに、かなり鮮明に記憶している。


そうこうしている内に、デビュー時には三人いたけど一人抜けて二人でフォークデュオみたいな事やって、それからサポートをつけてシティポップみたいな感じになって、それからそのメンバーを正式なメンバーとして五人になって、ドーン、ジャーンのロックバンドになったんだとかさ、「この曲はおそらくイーグルスのこの曲を研究して作ったはずだ」とか、そんな知識を増やしたり、曲の解説みたいなこと考えたりするようになってね。

このアルバムだと「ここから、ボズ・スキャッグスとか担当してるエンジニアがミックスするようになってサウンドが変わったんだ」とかね。


それをテープ作ってくれてた女の子に話すようになったんだ。要するに共通の話題を作って仲良くなるという作戦は成功したかに思えた。


でもね、話は盛り上がらない。だって彼女は「小田さんステキ!」って一心で聴いてるんだもの。別にサウンドなんて彼女にしてみればどうでもいいのだ。


彼女に最後にダビングしてもらったのは”I Love You”ってアルバムだったかな?

確か僕は「これも結構いいよ」って吉田拓郎のテープを渡したんだが、特に感想はもらえなかった。小田さんじゃなかったからしょうがないか。




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