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  • 執筆者の写真辻正仁

#007 Rock’N'Roll / John Lennon(1975)

更新日:2022年3月4日


少年時代にこの人を知らなければ、僕の人生はまるで違ったものになっていたであろう。

視点を変えてみれば、少年時代にこの人を知ることになっていたのが僕の人生である。


この人に惹かれたからこそ、僕の性格や価値観や物事の捉え方は現在のようになっているとも言えるし、僕の性格や価値観や物事の捉え方がこうだから、この人に惹かれたんだとも言える。


こういう話は「ニワトリが先か、タマゴが先か」みたいなもんで、考えたって仕方ないし、もしかしたら「ヒヨコが先」だったのかもしれない。

だから、どーでもいいや。


詳しいことは各々で調べていただければ、いくらでも情報は出てくるのでお任せするが、このアルバムはジョンが自分がデビューする前に愛聴していたロックンロールナンバーをカバーした作品集である。

彼のアルバムはどれもこれも紹介したいものではあるが、あえてオリジナル曲ではないこの作品を選んでみた。


特にソロになってからは、自分のことやら自分の考えてることやらを題材とする曲がほとんどであり、聴いているとどうしてもJohn Lennonという人物の人生やら思想やらメッセージやらを考えずにはいられないのだが、身も蓋もないロックンロールの数々を、屈託のない「ただの歌」を彼が歌うこのアルバムがあるおかげで、彼の存在ってものがわかりやすくとっつきやすいものに感じられるような気がする。


まぁ、初めて聴いてた少年時代なんてのは、ただゴキゲンな気分だっただけなんだけどね。僕だって歳を取ったんだよ(笑)。

そして、今だにこれを聴くと勝手に身体が揺れる。そういうサウンドだし、そういう声だ。何がどうであろうと、それが一番大事なことに変わりない。

本当に僕は歳を取ったんだろうか?


なんと言っても、少年時代にこれらの曲に夢中になっていなければ、僕の知っているジョン・レノンという人の性格や価値観や物事の捉え方は随分と違っていたんじゃないかと思う。もしかしたら、彼の性格や価値観や物事の捉え方があんな感じだからロックンロールに夢中になったのかもしれないけれど。


ん? どっかで聞いたような話だな…。


コレをレコーディングしてた頃って、ジョンが奥さんと別居中で、いわゆる「夫婦の危機」の最中だったみたいだね。

最初の頃は久々の独身気分を満喫してたようだけど、その内に奥さんに会いたくて仕方なくて絶望的な気分になってたらしい。


よその夫婦のことなんて他人にはよくわからないが、本人にとっては余程のことだったらしく、そしてその危機を乗り越えたことをとても嬉しく思っているらしいのは、後のインタビューとかでいろんなところで喋ってるから、結構な「人生の岐路」ってやつだったんだろう。


余談だけど「ヨーコがジョンを支配してる」とか言ってる人たちがいるけれど、例えそうだとしてもジョン自身がそれを選択したんだって事なんだよね。

だからヨーコと一緒にいるのが気に食わなくて批判するんなら、そういうジョン・レノンに対してするべきだよねって思うよ。

なんで奥さんと一緒にいたいってことに文句があるんだかわからないけど。


話が逸れたけど、とにかくジョンが自分の人生の厳しい局面で、少年時代に夢中になったロックンロールを演奏して歌うことにしたってのは、なんとなくわかるような気がするんだな。

自分を鼓舞したり、希望を見出したり、あるいは慰めたりするために自分の「精神が生まれた場所」を確認したんだと思う。

頭でそういう事を考えたんじゃなくて、ただ単純に「求めた」んだと思うのね。


僕がジョン・レノンを聴くのって、大抵、自分が何かで落ち込んだり厳しい状況を乗り越えなきゃならない時なんだよね。そういう時に、気がつけば少年時代に夢中になったジョンの歌を聴いている。


だから、そういう意味ではジョンも僕も、他の誰だってみんなおんなじようなものなんだろう。

ってのもやっぱりジョン・レノン言ってたことだったような(笑)。


ジョン・レノンを知って僕がこうなったのか、僕がこうだからジョン・レノンを好きになったのか。

ロックンロールを知ってジョンはあぁなったのか、ジョンがあぁだからロックンロールを好きになったのか。


EとAとB7を繰り返すロックンロールみたいだな。

その繰り返しのリズムに乗ってゴキゲンになれたら、自分を鼓舞したり、希望を見出したり、あるいは慰めることができる。


そういうことを教えてくれたのがジョン・レノンである。

いや、僕がそういう人間だからジョン・レノンにそんな事を感じたんだったかな?


まぁ、そんな事はどーでもいいから、もう一回聴こう。




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